さとう動物病院
   長野県 千曲市
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猫の小腸内異物
 患者さんは1歳になったばかりの雌猫です。前日から嘔吐を繰り返しているとのことで受診されました。抗生物質と抗ウイルス剤を投与しましたが嘔吐が止まらず、3日目に胃腸内異物を疑い造影検査を実施しました。
 下の写真は造影検査のレントゲン写真です。投与直後に、造影剤が胃から小腸の十二指腸まで速やかに流れて行く様子が観察されました(写真左)。このことから、胃内異物による通過障害はないと判定しました。
 観察を30分後、1時間後、2時間後、5時間後まで継続しました。その結果、右の写真で示した矢印の部位より先には、造影剤は流れて行きませんでした。ここは小腸の空腸開始部で、この部位に異物があり通過障害、すなわち腸閉塞を起こしていると考えられました。
 この結果を飼い主さんに説明後、すみやかに全身麻酔を施し、小腸内から異物を摘出しました。異物はスポンジ状のプラスチック片で、子供部屋のマットの一部かも知れないとのことでした。入院4日目に元気回復を認めたため、退院しました。
 猫では異物による胃腸の通過障害は犬に比べると非常に少なく、当院では本例が4例目です。いずれにしても一歳前後の若い内は、犬も猫も異物の摂取には注意が必要です。 
*造影検査のレントゲン写真。右写真の矢印の部位に異物を認めました。  
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