さとう動物病院
長野県 千曲市
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猫の糖尿病
 患者さんは雄(去勢済み)のチンチラゴールデンです(写真)。13歳7カ月齢時に水をたくさん飲むようになり、体重の減少が認められたため受診されました。糖尿病を疑い血液検査を実施したところ、血糖値は209mg/dl と高値を示しました。猫の正常な血糖値は71〜148mg/dlです。療法食を処方し、経過を観察しましたが、1カ月後の検診で血糖値は435mg/dlに上昇、体重も3.96kgまで減少しました。3カ月後には血糖値は511mg/dlまで上昇し、体重も3.65kgまで減少したため、インシュリンの皮下投与による治療を開始しました。
 猫の糖尿病は犬に比べるとコントロールが非常に難しく、インシュリンの注射が困難な場合もあり、治療は必ずしも容易ではありません。今回は1日1回の注射で、最小単位から投与を開始しました。幸い飼い主さんによるインシュリンの注射は、問題なく実施できました。1カ月間は毎週通院していただき、血糖値の検査を実施、最適量を探りながら投与を続けました。1カ月後のインシュリン6単位投与時に、血糖値が89mg/dlまで下がったため、5単位にしたところ164mg/dlに回復しました。
 その後、血糖値を毎月1回検査しながら、インシュリンの投与量を微調整しています。現在、投与を開始して2年ほど経過しますが、血糖値は200〜300mg/dlを維持し、体重は4.5kg前後で安定しています。インシュリンの投与量は2〜3単位の範囲で微調整をしながらの投与ですが、飼い主さんのケアが非常によく、高齢ながら元気で充実した生活を送っています。血糖値を100mg/dl代後半で維持しようとすると、41mg/dlまで低下したこともあり、低血糖症になりかねないので注意が必要です。
 なお使用しているインシュリンは、最近日本でも入手可能になったLantusです。この製品が入手できるようになったことも、猫の糖尿病治療には朗報です。
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