さとう動物病院
  長野県 千曲市
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佐藤動物病
浸潤性増殖を示した肥満細胞腫 
 患者さんは8歳の雌のバグです。左胸側に腫瘤ができたとのことで受診されました。腫瘤は中央が乳頭状に盛り上がり、周囲の皮下には出血を伴った軟弱な組織が直径約4cmの範囲に認められました(写真左サークル内)。皮膚の腫瘍と診断し、細胞診を実施したところ、顆粒細胞が多数認められたことから、肥満細胞腫と診断しました。肥満細胞腫は悪性の腫瘍であり、外科的に可能な限りマージンを取り切除し、避妊手術も併せて実施しました(写真右上)。
 摘出した腫瘤の病理組織学的検査を実施したところ、中等度分化型(II型)の肥満細胞腫と診断されました。肥満細胞腫は、腫瘍細胞が組織中にばらまかれたように浸潤性増殖を示すことが多く、今回はとくにその傾向が強く認められました。トルイジンブルー染色で青色に濃染している細胞が肥満細胞ですが(写真右下)、浸潤性増殖を示していることがよくわかります。肥満細胞腫は悪性の腫瘍で、浸潤性増殖が強ければ再発や転移の可能性も高くなります。
 術後、3カ月間ほど抗癌サプリメントを処方し、現在、1年半ほど経過しましたが、再発や転移もみられず元気にしています。
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