さとう動物病院
 長野県千曲市
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髄様癌を伴った乳腺腫瘍
 患者さんは12歳の雌犬です。半年ほど前から乳腺に腫瘤ができ、大きくなってきたとのことです。ピンポン球ほどの腫瘤が、両側の第3乳頭に認められました(写真上左)。アレルギー性皮膚炎を患っており、状態のよいときに避妊手術と併せて摘出しました。術後の経過は非常に良好で、術前より元気になり、食欲も出てきたとのことです。
 摘出した腫瘤の病理組織学的検査で、大半は良性乳腺腫と診断されましたが(写真上右)、一部に浸潤性増殖を示す悪性の髄様癌が認められました(写真下)。髄様癌の発生は犬では非常にまれですが、悪性腫瘍のひとつであり、再発や転移が懸念されるため、経過観察が必要です。
 犬では若齢時に避妊手術を行うと、乳腺腫瘍の発生をかなり予防することができます。また高齢時にはホルモン異常をきたしている場合が多く、腫瘍摘出時に避妊手術を併せて実施することにより、再発の予防が期待されます。今回の症例も、術後に元気になったことは、避妊手術によりホルモン異常が改善されたためと考えられます。命にかかわる乳腺腫瘍と子宮蓄膿症を予防するため、早めの避妊手術をお勧めします!!
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