さとう動物病院
  長野県 千曲市
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症例紹介
ハムスターのジアルジア感染症
 患者さんは約1カ月齢のハムスターです。数日前にペットショップからきたばかりですが、食欲がなく軟便とのことで受診されました。
 糞便を検査したところ、写真に示したようなジアルジアのシストが多数検出され、ジアルジア感染症と診断しました。抗原虫剤を処方したところ、軟便は治まったとのことです。 
 左写真は糞便の弱拡大標本で、ジアルジアのシストがたくさん観察されます。右写真は強拡大標本で、核を持った特徴的なジアルジアのシストが3個観察されます(いずれもヨード染色標本)。シストとは寄生虫の卵のようなもので、親虫は栄養型虫体と呼ばれ、鞭毛を持ち自力で動くことができます。今回は栄養型虫体は観察されませんでしたが、「寄生虫検査室」に犬におけるジアルジアの栄養型虫体を掲載していますのでご参照ください。
 ハムスターにおけるジアルジア感染症は、症状をほとんど示さない不顕性感染が多いといわれています。しかし濃厚感染を起こせば、下痢や体重減少などの重い症状を示すことがあると考えられています。今回の事例では多量のシストが検出されたものの、病原性の強い栄養型虫体が観察されなかったことから、症状が比較的軽くてすんだものと思われました。
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