さとう動物病院
 長野県千曲市
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雄犬の肛門周囲腺癌
 患者さんは14歳の雄犬です。肛門周囲に次々と腫瘤が形成され、2カ月ほど前から急激に大きくなり、表面が傷つき始めたため受診されました。写真で示したように、肛門を挟むように大きな腫瘤2つ形成されています。病勢が進行しており、尾根部にも腫瘤が形成されていました。未去勢の雄犬で、臨床症状から典型的な肛門周囲腺の腫瘍と診断しました。
 肛門周囲腺は精巣から分泌される男性ホルモンの影響を受けて腫瘍化することが知られており、腫瘤の摘出とともに去勢手術も併せて実施しました。非常に出血しやすい部位で、半導体レーザーメスを使用して出血を抑えながら、慎重に手術を行いました。
 肛門周囲腺の腫瘍は、良性の肛門周囲腺腫と、悪性の肛門周囲腺癌の2種類に分類されます。今回は病理組織学的検査の結果、悪性度の高い肛門周囲腺癌と診断されました。
 悪性腫瘍であったにもかかわらず、術後の経過は非常に良好で、現在手術をして10カ月ほど経過しますが、とても元気にしています。 
 肛門部に形成された腫瘍です。犬の大きさから、腫瘍がいかに大きいかおわかり頂けると思います。
 術後3週間ほど経過した手術部です。悪性腫瘍でしたが、肛門部はとてもきれいなりました。  摘出した腫瘤の病理組織学的検査所見です。悪性度の高い肛門周囲腺癌と診断されました。
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