さとう動物病院
長野県 千曲市
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若い雌犬に発生した子宮蓄膿症
 患者さんは雌のバセットハウンドです。年齢は1歳8カ月齢、体重は26.8kgです。1週間前から食欲がなく、腹部も大きくなってきたとのことで受診されました。血液検査を実施したところ、白血球数が61,000個/μlもあり、そのほとんどが細菌感染の時に増加する種類の白血球でした。レントゲン検査では、子宮が著しく腫大していました(写真左)。これらの所見から、子宮蓄膿症と診断しました。子宮蓄膿症は子宮内に多量の膿汁が貯留する病気で、細菌が産生する毒素により腎臓障害や肝臓障害を招くこともあり、非常に怖い病気です。血液検査で貧血が見られたものの、腎臓機能と肝臓機能はともに正常値でした。
 全身麻酔を施し、卵巣子宮摘出術を行いました。摘出した子宮は、膿汁を多量に入れ、著しく腫大していました(写真右)。術後の体重は22.7kgでしたので、子宮の重量は4.1kgもあったことになります。術後の経過は非常に良好で、翌日にはとても元気になり退院することができました。
 子宮蓄膿症は、5歳齢以上の避妊手術を実施していない雌犬に見られることが多く、今回の1歳8カ月齢は、当院で最も若い雌犬での発生です。
 今年(2010年)は、子宮蓄膿症の発生が非常に多く、13歳齢のレトリバーであったり、14歳のポメラニアンであったりと、その多くは高齢犬に発生し、手術は神経を使いますが、幸い皆元気に退院することができました。いずれにしても子宮蓄膿症は、避妊手術を行うことで予防できますので、早めの手術をお勧めします。
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