さとう動物病院
 長野県千曲市
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ウサギの無菌性子宮蓄膿症
 患者さんは雌のホーランド・ロップです。年齢は3歳で、体重は2.12kg。前日から血尿をしているとのことで受診されました。レントゲン検査(写真左上)とエコー検査の結果、子宮の著しい腫大が認められ、子宮蓄膿症もしくは子宮水腫と仮診断しました。
 全身麻酔を施し、子宮卵巣摘出術を行いました。右上の写真は術中に撮影しましたが、子宮は乳白色の膿汁を多量に入れ(写真左下)、著しく腫大していました。
 細菌が関与していると考えられ、膿汁を検査機関に送付し、好気性培養と嫌気性培養を依頼しました。結果はいずれも陰性で、細菌は分離されませんでした。病理組織学的検査では炎症性病変が認められ、子宮蓄膿症と診断されました。細菌が分離されなかったことから、最終的には「無菌性子宮蓄膿症」と診断しました。
 なお術後の体重は1.84kgでしたので、子宮の重さは0.28kgもあったことになります。これは術前体重の13.2%に相当します。術後の経過は非常に良好で、2週間後の抜糸時には、体重は1.98kgに増加していました。
 雌ウサギの子宮疾患は、子宮癌も含めて比較的多く見られます。健康時に不妊手術を行うことで予防できますので、早めの手術をお勧めします。
 腫大した子宮から採取した膿汁。部位によっては左のようにやや透明な液体も採取されましたが、大部分は右のような乳白色の膿汁によって占められていました。これらのサンプルを検査機関に送付し細菌検査を行いましたが、細菌は分離されませんでした。
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