さとう動物病院
  長野県 千曲市
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雄ウサギの膀胱陰嚢ヘルニア
 患者さんは6歳の雄ウサギです。陰嚢に膨らみができているとのことで受診されました。膨らみに気がついたのは数日前とのことです。膨らみは左精巣の内側にあり、腫瘍のような肉様感がなく、液体が入っているような軟らかい感じがしたことから、膀胱の陰嚢ヘルニアと診断しました。
 処置は、まず最初に全身麻酔をかけ、左精巣を摘出しました。その後、陰嚢内の膨らみが膀胱であることを確認し、シリンジで尿を吸引しました。尿はウサギに特徴的なカルシュウムの結晶成分に富んだ黄色で、27mlほど吸引されました。萎んだ膀胱を腹腔内に戻し、腹膜をしっかりと縫合し、最後に皮膚を縫合して手術を終了しました。10日後に抜糸のために来院されましたが、傷口はきれいになっており、再発することもなく元気にしているとのことです。
 ウサギにおける膀胱の陰嚢ヘルニアは非常に珍しい症例で、海外の医学文献データベース(MEDLINE)で検索しても報告は見つかりませんでした。国内でもおそらく文献的な報告はないかもしれません。どなたかご存知でしたら教えて頂ければ幸いです。
左精巣の内側に、鶏卵大ほどの腫瘤が認められます(矢印)。触るととても軟らかく、お腹の中から膀胱が外にはみ出してしまった、膀胱の陰嚢ヘルニアでした。
 左精巣を摘出後、膀胱から尿を採取しました。尿を抜き取った後の膀胱はペチャンコになり(矢印)、ピンセットでお腹の中に戻してあげました。
右は10日後の抜糸の時の写真です。傷口はとてもきれいになっていました。
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