さとう動物病院
  長野県 千曲市
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猫の子宮蓄膿症
 患者さんは3歳半の雄猫(5.7kg)です。前日から尿が出ないとのことで受診されました。レントゲン検査を実施したところ、膀胱内に多量の尿が貯留していました(写真)。またペニスの先端は赤色を帯びており、尿道の閉塞(詰まり)が認められたため、尿石症と診断しました。直ちに超音波スケーラーでペニス先端部の尿石を粉砕し、導尿を試みました。尿道はすぐに開通し、カテーテルで排尿後、生理食塩水で膀胱洗浄を行いました。採取された尿は著しく赤色を帯び、顕微鏡検査で赤血球とともに、多量の結晶(ストルバイト)が観察されました(写真)。術後、尿路感染を防ぐため、オルビフロキサシンを処方しました。尿検査でpHが高かったことから、再発を防ぐため療法食の給与を指示しました。

尿検査成績
 肉眼検査:色調(赤色)、混濁(++)、遠心分離後の沈渣(++)
 ウロペーパー:蛋白(++)、ブドウ糖(-)、pH(8)、潜血反応(赤血球+++)
 沈渣の顕微鏡検査:結晶(+++)、細菌(+)、赤血球(+++)、白血球(++)
細菌培養成績
 尿の細菌検査を実施したところ、ブドウ球菌が少量分離されました。
 分離されたブドウ球菌はオルビフロキサシンに強い感受性を示しました。

お願い
 雄猫はペニスの先端が細くなっていることから、尿道閉塞を起こしやすく、日頃から注意が必要です。とくに寒い時期は飲水量が少なくなり、尿が濃くなって結晶ができやすくなるため、尿石症が多発します。排尿できないことは命にかかわることなので、尿に血が混じっていたり頻繁にトイレに行きたがるような症状を示したら、早めに動物病院で受診してください。またフードによっては尿中に結晶を形成しやすく、適切なフードの給与も望まれます。詳しくは動物病院におたずねください。
腹部のレントゲン写真。下腹部の膀胱内(矢印)に多量の尿が貯留しています。 尿中には赤血球や白血球とともに、多量の結晶が観察されました(直接鏡検)。
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